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坂東祐大 新作 ワーク・イン・プログレス『キメラ – あるはずのないメソッドの空想』

作曲家 坂東祐大さんの新作発表『キメラ – あるはずのないメソッドの空想』の舞台構成。

「もし日本に西洋音楽が現実とは異なる形で導入されていたら、現在私たちが聴いている音楽もまた違う姿になっていたのではないか?」――この仮定に基づき、楽器の奏法そのものを発明しながら作曲されたコンサート。その会場はどのようなものになるだろうか。

一般的に馴染みのある「ステージ ⇔ 客席」という関係をやや崩しつつも、必然性のある鑑賞体験をめざした結果、演奏者と観客は正対せず、場面に応じて会場内を移動しながら進行する構成とした。その際、会場に備え付けられた平台のみを構成要素として使い、演奏者の動き方をサポートする「ランウェイ」と「たまり」を設けている。

コンサートは二部構成で、第1部は架空のレクチャーを通じて「もしも」の世界へと観客を導く。比較的シンプルなステージを平台と照明で構成し、第2部への転換時にはその平台を移動させ、変形(トランスフォーム)していく過程を見せる。そのプロセス自体が、観客を仮想世界へ没入させる仕掛けとなっている。

作曲家のステートメント
ここ数年、自分は音楽を西洋史観・西洋音楽史観で考えすぎているのではないか、と自問を繰り返している。日本の民族音楽研究の先駆者・小泉文夫は、著書の中で、外国で発達した西洋音楽が日本に本当に根付くのかと問いかける。その洞察に触れ、この問いについての関心が一層深まった。
今回の企画では、もし日本に西洋音楽を輸入した方法が今と違っていたら? あるいは日本の伝統楽器が違う形で発展していたら? 廃れてしまった日本発の楽器が別の形で存続していたら? 演奏の美意識が現在と違う形で展開していたら? 作曲という行為が五線譜ではなくタブラチュア譜だったら? など、実際はないはずのことを前提にガラパゴスなメソッドを空想してみたい。それには日本の伝統音楽、西洋音楽を問わず演奏家、音楽学者の 知識やアイディアをふんだんに借り、リサーチしたいと思う。
そして、それらのメソッドを用いた音楽を新たに作ってみる。それらはおそらく2025年の日本に住む私自身をとりまく音楽を徹底的に解体 ― 再構築を繰り返した、ある種のキメラ音楽のようなものになるのではないだろうか。そうして様々な文脈やメソッド、形式や身振りを解体―再構築したものから、なお表出する作曲や演奏の美意識、また現代性や地域性とはなんなのだろうか、観察してみたい。(もしかしたら、そんなものは存在しないかもしれない。)
―坂東祐大

Project data

Type: Stage design

Client: 公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団、日本コロムビア

Location: さいたま芸術劇場

Date: 2025.2.22

Performer: 坂東祐大(作曲家/音楽家)
      多久潤一朗(フルート)
      長谷川将山(尺八)
      尾池亜美(ヴァイオリン)
      LEO(琴)

Web: https://www.yutabandoh.com/schedule/sainokuni25
https://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/102474/

Photo: Kanta Matsubayashi